住宅ローンの金利は、1990年初頭のバブル期に変動金利が8%を超えましたが、バブル崩壊とともに金利が低下し、ここ10年では変動金利は0.5%~1%台、固定金利は1%~2%台という“超低金利”が続いています。
住宅ローンの金利が低ければ低いほど返済額の負担が少なくて済むので、今の超低金利が住宅購入の追い風となっているのは事実。各銀行でも住宅ローンを獲得するために積極的に金利優遇を行っており、変動金利では適用される金利が0.3%~0.4%程度まで低下するケースもあるようです。
●固定金利は上昇中。変動金利はどうなる?とはいえ、住宅購入における超低金利の追い風も、変化の兆しが起きています。日本銀行は2016年より金融政策で長期金利を0%程度にすることを目標に掲げてきましたが、2021年から変動幅の上限を0.25%、0.5%と段階的に引き上げ、2023年7月には上限を1%としました。住宅ローンの固定金利は各銀行が長期金利の水準を参考に決めているため、長期金利の引き上げを受けて固定金利の水準が徐々に上昇しています。
固定金利が上昇しつつある一方で、変動金利は今のところ低水準を維持していますが、一般的に固定金利が上がると変動金利も連動して上がるといわれています。このまま変動金利も上昇するのか、それとも横ばいを続けるのかはさておき、これ以上は大きく下がるとは考えにくいでしょう。いずれにせよ、低金利のメリットを活かして家を購入したいなら、早めに行動したほうがよいかも知れません。
●人気の変動金利には金利上昇時のリスクも超低金利時代といわれる今は、固定金利よりもさらに低金利の恩恵を受けられる変動金利の人気が高く、住宅ローンの利用者の7割が変動金利を選んでいます。
ただ、変動金利は社会情勢に合わせて半年ごとに金利が見直されるため、金利が上がるとローン返済額が増加するリスクも。変動金利を選ぶなら、将来の金利上昇に備えて準備しておくことが大切です。
固定金利は、変動金利よりも金利が高めですが、「全期間固定金利型」であれば完済するまで適用される金利が決まっているので、経済状況や社会情勢に左右されず、返済計画が立てやすいメリットがあります。
また固定金利には、3年、5年、10年など、選択した期間だけ金利が固定される「固定期間選択型」もあります。固定期間中は金利が変動することなく、固定期間終了後は再度固定期間を選択するか、変動金利にするかを選べるので、子どもの教育費などでお金のかかる時期が分かっている場合などに有効です。
●自分の「買い時」と「ローンの組み方」を見極めて家を購入したい方にとって、超低金利の今は住宅ローン返済額を抑えるチャンスといえます。
けれども、家を購入するタイミングは人それぞれですから、「金利が低いから」と焦って購入するのは避けるべきですし、変動金利と固定金利のどちらがよいかは、ローン利用者の収入や貯蓄額、家族構成などによって異なります。
理想のマイホームを手に入れるために、定期的に金利の動向をチェックしつつ、自分にとって最適な「買い時」と「ローンの組み方」を見極めたいものですね。